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STORY #4 嵐の前の嵐

「司令官が呼んでる?!」

奏は大声で応えた。

エマージェンシーアサルトが鳴り響く甲板。

スクランブル発進するバトルドライバーの爆音の中、ヘッドセットを装着していても会話がままならない。

甲板クルーの一人がハンドサインで司令室を指差している。

(この緊急時になんの用だ?)

現場を部下に任せ、急ぎ足で司令室に向かう。

司令室に入ると、幹部達の暗い表情がそこにあった。

「この出撃を最後に、現基地を破棄。48時間以内に撤退する。」

淡々とした口調で司令官は命令を下した。すでに決定事項のようで、全く躊躇していない。

「奏主任。無茶を言うが引き受けてくれ。」

「撤退、、?まさか!」

言いかけて、はっと気づいた。

(ここが狙われている?)

「そのまさかだ。奴らはこの基地に狙いをつけてきた。撤退するしか術がない。」

「お言葉ですが指令官。それでは、まだ戻らない者たちの半分以上を捨てゆくことになります。。よろしいのでしょか?」

不安気に司令官へ尋ねてみたが、愚かな質問だったと反省する。

「半数を捨て置くか、全てをハイにするか。君ならどちらを選ぶ。」

司令室を後にして現場へ戻る途中、奏は配属された頃を思い出していた。

もう6年もの歳月が流れた。もともとこの前線基地は超巨大空母をベースとして建造されている。

空母を着岸させ、格納庫、修理棟、寄宿舎の建設は根を張るように地上へ展開してきた。

全てスタッフの血の滲むような努力で運営してきた基地(ホーム)。

それを破棄か。。。

(弱気になってはダメだ!今は人命救助が最優先!)

きつく歯を食いしばり、頭を強く左右に降った。

ノスタルジックな気持ちに飲み込まれ、感傷的になりそうな自分の気持ちを切り替える。

さすがに地上へ広がった物資の回収は難しい。それ以前に空母は動くだろうか?

いざという時のために訓練をし、メンテナンスは常に細心の注意を施してきた。

その「いざ」が今だ!

甲板に全クルーを呼び出し、大声で呼びかける。

「総員に告ぐ!作業を中止し、撤退の準備に移行せよ。これは命令ではない。やるしかない。そして、何よりも、、、人の命を優先させろ。」

現実を突きつけられたクルーたちは、動揺を隠せない様子だが、徐々に理解が広がり、

大きうねりと化した気合の声が響く。

「A班 エンジン始動の用意!」

「B班 20時間で地上の物資を空母に移動!」

「C班 全デッキ作動チェック!」

「全クルー配置につけ!」

奏での決め台詞を聞いた全クルーが一斉に持ち場へと散っていった。