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STORY #3 重なる想い

不安と混乱で立っているのがやっとだった。

まさか、輝夜に限って、そんな…。

今しがた聞いた報告を受け入れいれることができない。意識の根底から拒否する自分を感じる。

輝夜は生きている。探さなくては。

しかし、いま私がやるべきことは、バトルドライバーの整備だ。後回しにできない。

後回しにできないが、輝夜を探さないまま時間が過ぎていくのも耐えられない。

「なに落ち込んだ顔してるのよ!」

背後から声がかかる。勝気な目をした少女が腕を組んで睨んでいる。中学生とといっても十分に通じる背丈とルックス。折刃ユキだ。

「ユキ!あなたまだここの担当じゃないはず。」

「正式には48時間後。それまでは自由待機していいと命令されている。輝ネーを捜すんでしょ。」

司令官に聞いたのだろうか。それとも差し金か。

しかし、この状況でユキの存在はありがたい。

「捜索の準備をしている、後から私の部屋に来て。」

最低限伝えることだけを言って、折刃ユキは踵を返し整備室から出て行った。

1分1秒が惜しいのはユキも同じか。。

伊紗波はバトルドライバーの整備に戻り、4時間後にはユキの研究室にいた。

研究室に戻ったユキが最初にやるべきことは、枕として愛用しているクッションを隠すことだった。明らかに涎らしき跡を伊紗波に見せるわけにはいかない。連日の徹夜で疲れている姿も見せられない。

それ以外は全く気に成らない様子で、散乱した机に向かい「絶対に助けるから、待ってて輝ネー。」とひとりごちた。

行方不明者を捜すには、できるだけの情報収集とその解析。

情報はおおよそ軍部から届いていた。

届いたデータは輝夜の最終戦闘のものだった。リアルモニタシステムにより、輝夜の行動全てを把握することができる。

シミュレートした結果、輝夜は不意をつかれた攻撃から部下を守るために被弾した。

その後、コントロールを失った輝夜のバトルドライバーは戦闘区域から離れ、成層圏を漂い、大気圏に突入している。

拾えたのはそこまでだ。GPS衛星や監視衛星が破壊されていれ、それ以上の追跡はできない。

基地内のコンピューターがはじき出した落下予測地域は、あまりにも範囲が広大すぎる。

軍が見放すわけだ。

「あんなこと言いながら、結局私に探せって。本当正直じゃないね。どのみち私は輝ネーを救い出すけど。」

数年前から開発を手がけている、ユキオリジナルの超量子コンピューターに試算させる。まだ実用レベルではないにしろ、膨大な数の軌道計算を絞り込むことなら可能だ。

一通りのデータ解析を終え、捜索プログラムを組み立てているところに、伊紗波が部屋に入ってきた。

「見つかった?輝夜は生きてるの?今どこ!」

一気に捲し立てた物言いに、彼女なりの焦りが見える。

オイルで汚れた顔は、彼女の表情をひときわ険しいものにしていた。

「伊紗波。バトを一台研究室に回して。」

「呼び捨てするな!で、何に使うの?」

「バドの動力を私の量子コンピューターとドローンにつなぐ。許可はもらっている。6時間で仕上げて。私はそれまでにプログラムを完成させる。」

「6時間って、、現場をわかって言ってる?」戸惑いを隠せない伊紗波に向かって、人差し指を突き出し、睨みながら言い放つ。

「輝ネーを助けるんでしょ!私は絶対に諦めない!」

つづく